Excite Music Close Up Interview with Stereopony about their tenth single "Arigatou." There is also a video message. Original Spoiler 沖縄にある全てが無料の音楽スタジオ“あじさい音楽村”。夢を持つ高校生を応援したい一心で、中曽根陽さんが1998年に手作りした。人としての教えを厳しく伝える中曽根さんは父親のような存在であり、一緒に夢を追いかける姿は兄貴のようでもあり、高校生達からは“ニイニイ”と呼ばれていた。そのあじさい音楽村で育ったバンドの一つがステレオポニーだ。ニイニイの叱咤激励と大きな愛情に支えられ、彼女達は2008年にデビュー。しかしニイニイは病に倒れ、2009年に旅立ってしまう…。あじさい音楽村での実話映画『天国からのエール』がこの秋、全国ロードショー。その主題歌を歌うのはステレオポニー。真実の愛と感動がここにある。 ステレオポニー 届いてる? 聞こえてる? Excite:タオルが必要な曲ですね。書籍『僕らの歌は弁当屋で生まれた・YELL』も読んでいたので、余計に涙なしでは聴けないナンバーでした。曲を作る時、ニイニイとの思い出や地元での濃厚な時間も蘇ってきて、作ろうとしても進まなかったのでは? AIMI:曲にしたいって気持ちがずっとあったんですけど、2011年9月28日になるまでリリースができなかったのは、ニイニイの存在が自分達の中で大きかったからです。1曲って数分間じゃないですか。その中に全ての想いを収められないというか、これでいいのかって自問自答をずっと繰り返していて。 主題歌のお話をいただいた時も、どういうふうに言葉を残したらいいのか、まだこれだってものが見つからなくて。でも映画『天国からのエール』のラフ段階のものを見せてもらったら、すごい俳優さんや女優さん、監督さんも、ニイニイのことを残そうって気持ちがすごく伝わってきて、それが自分達も嬉しくて。ニイニイを世の中に残す一部にステレオポニーもなりたいと思ったんです。それがきっかけで、今まで見ないようにしていた自分の気持ちに向き合って、そこから曲作りが始まりましたね。 Excite:本を通してしかニイニイのことを知らないんですけど、実際にどんな方だったんですか? AIMI:血がつながっていない人間にも、真っ直ぐぶつかって、真っ直ぐ褒めて、真っ直ぐ叱って、真っ直ぐ笑って…。肉親ではないんですけど、絆としては家族と同じ、自分達のお父さんだと思っているんです。それぐらい無償の愛を人に与えてくれる人間だったんです。その分、厳しさもあって、あじさい音楽村の十箇条は最低限守らなきゃいけなかったし、守れない人は本気で叱って。お母さんや学校の先生からも言われないようなことで、すっごい叱られたことあって、なぜ、こんなに厳しいの?って最初は戸惑いましたけど。 NOHANA:ホントに怒られすぎて、毎日のように泣いていた時もありました(笑)。でも音楽面ではなくて、人として挨拶しなさい、目上の人を大事にしなさいとか、その時の言葉遣いや態度まですごく細かいところまで見ていて。それで怒られて、謝ると笑って許してくれて、また怒られての繰り返しだったんですよ(笑)。でもあじさい音楽村にいたことで、すごく強くなれたと思うんです。 SHIHO:ホントにいっぱいあるんですよ、怒られたこと。沖縄でイベントがあって、出ない人も手伝いに行くのが決まりになっていたんです。でも、デビューも決まっていて曲や歌詞とかで自分の中でイッパイイッパイで、自分だけ手伝いに行けなかったんですね。そしたら、先輩が出るのに、なぜオマエは行かないんだって、すっごい怒られて。同じような理由で他の人が最初に怒られて、この状況をどうしようって、ニイニイから 見えないところにいたんですよ。そしたら“SHIHOはいないのか!”って呼ばれて。手伝いに行かないことにも、この状況から隠れていたことにも怒られて。それぐらい全力でいろんなことを教えてくれたんですよ。 Excite:そこまで怒られると普通は反抗心も出てくるけど、やっぱり愛情も感じられたんですか? SHIHO:叱られた後、先輩ごしにフォローの言葉も聞くんですよ。ホントに大きい人だなと思ったんですよね。 Excite:それだけ愛情を注いでくれたニイニイに、この曲でちゃんと応えたわけですよね? AIMI:ちゃんと応えられているのかわからないんですけど、空の上で聴いてくれているのかなって、この想いをずっと歌い続けたいと思っています。 Excite:アレンジもすごく削ぎ落としてシンプルに仕上げています。曲を作り始めた時から、なるべくシンプルにして、言葉や想いを全面に出したいと考えていました? AIMI:その通りなんです。 NOHANA:この曲にかけた制作時間はすごく長くて、いろんなアレンジを繰り返したんですよ。最終的にまとまったのが、このシンプルな形だったんですね。 Excite:映画『天国からのエール』もすでに試写したんですよね? ニイニイ の思い出と一緒に曲が流れた時、どんな気持ちになりました? AIMI:“届いてる、ニイニイ? 聞こえる、ニイニイ?”って気持ちでした。こんなにたくさんの人が感動して、生き方がプラスに変わっていってるんだよ、と思って。映画として観るっていう感覚にはなれなかったんですよ。 SHIHO:映画を通して、ニイニイの存在や大切さを、いろんな人が感じてくれて。それもすごく伝わってきたんですよ。多分、ニイニイは照れ笑いしていると思います。でも、すごく嬉しいですね。ニイニイのことを一人でも多くの方が知ってくれるというのが。 NOHANA:ニイニイ、すごいねって思います。あじさい音楽村ってすごく小さいスタジオなんですけど、こんなにもたくさんの人に知られようとしていることも、改めてすごいなと思って。ニイニイと関われていた自分達って、すごく幸せだったなって。 Excite:ニイニイの存在を知らなかったとしても、こうして曲と映画が架け橋になって、彼のことを知り、人としての生き方も教わると思うんですよ。そういう力もある素晴らしい曲です。カップリングには「ツキアカリのミチシルベ -Acoustic Ver-」を収録しています。オリジナル・バージョンがリリースになったのは2009年秋のことで、彼が旅立ってしまう直前の時期でした。 AIMI:その時、私自身がすごく悩んでいて、ニイニイにも悩みを聞いてもらったり、支えてもらったりしていたりした時期で…。それで生まれたのがあの時の「ツキアカリのミチシルベ」でした。実は「ありがとう」の1枚に、新曲も作ったりしてみたんです。でも、やっとありがとうと言えたばかりの私達が、次に何と言ったらいいんだろうっていう気持ちも正直あって。ただ、言葉を大切にする1枚にしたいと思ったんです。それであの時に生まれた「ツキアカリのミチシルベ」をアコースティックでやることにしました。原曲を知っている人にも知らない人にも、言葉が生きてくるアコースティック・ バージョンを聴いてもらいたいなと思っています。悩んでいた時期の自分自身にも、今、こういうふうに10枚目のシングルを出せて、こうやって歌っているよって言ってあげたかったんです。今は前を向いています。 Excite:音楽やバンドは、最初は楽しさだけだったと思うんです。でも意味合いがまた変わっていってるんじゃないですか? AIMI:ニイニイにはもっと言いたかったことも話したかったこともいっぱいあったんです。写真も一緒に撮ってなかったりとか、目を見て、直接、ありがとうって最後に言えなかったり…。ステレオポニーが元気に音楽している姿を一番楽しみにしてくれていた人だから、いつでもみんなに元気を与えられるようになりたいと思っていて。「ありがとう」を作ってからの元気の伝え方が、もう少ししたら変わってくるのかな。置いてきてしまっていた気持ちを歌った曲だから、原点にも戻れるし、スタートをやっと切れたと思います。 Excite:彼の教えは自分達にずっと根づいていて、今も自分達の中で成長を続けているんですね? AIMI:そうです。それを忘れたら、多分、歩いていけない気がします。いつでも自分達の中にいるし、この曲の中にも生きているし。それをずっと忘れないで進んでいきたいなと思っています。人間的にも強くならないといけないですね。 Video: http://www.excite.co.jp/music/close_up/movie/1109_stereopony/ Link to page: http://www.excite.co.jp/music/close_up/1109_stereopony/